【取材!医療の現場】「地域密着のかかりつけ医」の重要性
平均寿命と健康寿命は違う!
「自分は何歳まで生きるのかな・・・?」
こう考えたことは誰しも一度くらいはあるかと思います。
厚生労働省の発表では、平成25年の時点で平均寿命は男性で80.21歳、女性は86.61歳と言われています。
では、「平均寿命」ではなく、あなたの【健康寿命】は何歳なのでしょうか。
実は、実際に生きる寿命よりも重要視しなければいけないのは、この【健康寿命】です。
※健康寿命とは・・・WHO(世界保健機関)が提唱した指標で、平均寿命から衰弱・病気・痴呆などによる介護期間を差し引いたもの。いわゆる【健康で活動的に暮らせる期間】です。
このグラフ数値をご自分やご家族に当てはめて考えてみましょう。
(引用:厚生労働省 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 資料:「 健康日本21(第二次)各目標項目の進捗状況について」 )
平成25年の時点で、男性の場合⇒平均寿命80.21歳ですが健康寿命は71.19歳、女性の場合⇒平均寿命は86.61歳ですが健康寿命は74.21歳となっています。
私たちが健康のまま、長く幸せに生きていくためにどうしたらいいのでしょうか。
正しい生活習慣を保つことはもちろんですが、病院との正しい付き合い方をここで考えてみましょう!
北九州市小倉北区の「すなつ松井クリニック」を取材させていただきました。
親子二代で40年。
地域の主治医としてあらゆる疾患に対応
福岡県北九州市
医療法人 すなつ松井クリニック院長
松井博嗣先生
すなつ松井クリニックの玄関や看板には、診療科目名の表記が一切ありません。
これは、同クリニックの前身である松井外科胃腸科医院が1972年に開業して以来、地域で40年以上にわたって貫いてきた「何でも診る」という診察姿勢がしっかりと浸透しているからです。
診察姿勢を表すクリニック名
松井繁直先生が開業した松井外科胃腸科医院に息子であり現院長である松井博嗣先生が加わり、医師2名体制となったのは2003年のことです。
そして2013年現在地への新築移転を機に、院名も町名である「砂津(すなつ)」を冠した現在のものへと変更しました。これは地域に密着する同クリニックの姿勢を打ち出し「総合医療」の意味を込めたと言います。
「父はこの地域で最も古い開業医です。私は医者になってから長年へき地医療に携わるなど、総合治療の経験を積んできました。現在はそれぞれの経験を生かしながら、父が開業当初から理念としてきた『地域密着のかかりつけ医』を2人で実践しています」。
最先端は基幹病院の先生から徹底的に学ぶ
「かかりつけ医の役割は体に何らかの不調がある患者さんを診断し、専門医療が必要と判断したら速やかに適切な病院の診療科に紹介することです」と語る博嗣先生が理想とする開業医像は『鑑別診断のプロ』。
クリニックには生活習慣病や消化器疾患・関節痛などの整形外科疾患などさまざまな患者さんが訪れるため、総合医としては当然常に最新の知識を身に付けておく必要があります。
「自身で勉強することはもちろんですが、領域のエキスパートから生の声を聴くことも大切だと思っています。必要性を感じたら、基幹病院の先生のところに押しかけて教えてもらっています」と博嗣先生は笑いますが、これも飽くなき向学心の表れ。
また基幹病院の専門医と直接話をすることは、“顔の見える病診連携”にもつながっています。
専門でもある内視鏡検査に関しては手技に工夫を凝らし、時には鎮静を使用するなど苦しくない検査を心掛けています。
オープンスペースの物理療法室は、待合室から診察室に行く途中にあります。
このような構造にしたのはここを中待合室としても利用するためで、患者さんが物理療法を受けている間にスタッフが予診を行ったりします。
待合室から診察は始まっている
博嗣先生は診察の際、順番の回ってきた患者さんを一人一人自ら待合室に出向いて呼びに行くそうですが、これには診察上大きな意味があると言います。
「医師の前では患者さんは良くも悪くも自分を取り繕うところがあるので、まずは診察室に入る前の呼ばれたときの反応・立ち上がり方・歩き方などを見て全身状態を把握するようにしているのです」。
このような細心の注意を怠らない総合診察医としての姿勢も、同クリニックを頼る患者さんが後を絶たない大きな要因に違いありません。
『何かあったらとりあえず松井さんへ』-この言葉が住民の間に浸透していることが何よりも嬉しいという博嗣先生。
地域に関わるようになって44年、博嗣先生が加わって13年を迎え、「これからも、住民に信頼される主治医であり続けたい」と気持ちを新たにしています。
地域住民の身近な「かかりつけ医」をあなたのそばに。
開業医である父親の背中を見て医師を志した博嗣先生。
現在は繁直先生(前列中央左)と、また信頼できるスタッフと共に充実した日々を送っています。
今回取材を通して感じたことは、地域密着の信頼できる「かかりつけ医」を見つけることの重要性です。
その地域から引っ越しをしたとしても今までの診療情報を新しい病院へ転送していただくことや書類にしていただくこともできるとうかがいホッとしました。
自分や家族の健康寿命を考えるとき、病院との付き合い方は本当に大切になってきます。
あなたには、信頼できる「かかりつけ医」はありますか?